英語の長文読解では、「英熟語(イディオム)」がかなり重要となる。
各大学の長文読解問題でも、「その熟語の意味を理解しているか」という問題が多い。
同じ「look」という単語でも、「look at = 見る」「look for = 探す」とでは、文章の意味が大きく変わってくる。前後の文章の流れを予測しやすいため、知っているのと知らないとでは、読解力やスピードにも大きな差が付くだろう。
また、長文読解には単語を理解することが大前提だが、知らない単語や文法にぶち当たったときに「英熟語」を理解しておくと、大まかな文章の意味を捉えやすいため安心だ。
しかし、「文法書や単語帳を持っていても、英熟語を覚えられる英熟語帳は持っていない…」という受験生も多い。
そこで今回は、英語学習で避けては通れない「英熟語」を徹底マスターできる、目的や好みが異なる4種類の英熟語帳を紹介する。自分に合った英熟語帳を見つけて周りを差をつけよう!
目標に応じて英熟語帳を活用するには
「英単語との関連性がわかりにくい」「似たような熟語で覚えるのが困難」という受験生は多い。
英熟語帳を使って丸暗記することも大切だが、「ただ暗記するだけ」の勉強法は効率的とは言えないだろう。
■英熟語をまだ勉強したことがない人
英熟語をまだ勉強したことがなく、覚えている数も少ない…という場合は、まず多くの英熟語を覚えることから始めよう。
英熟語を覚えるのにもっとも重要なのは、その熟語の意味だけでなく「on,in,at,by,of,out」などの「前置詞のイメージを理解すること」だ。
数が多く使い分けが難しい前置詞だが、それぞれのイメージを抑えておくことで「どのような場面で使用されるか」「どのような目的で使用されるか」が分かり、大体の意味を想像しやすくなる。
つまり、単に英熟語と日本語訳が並んだ英熟語帳を選ぶより、その熟語に使用される前置詞のイメージを掴みやすい「例文」や「図解」があるともっといい。熟語の意味だけでなく、そこから派生する単語、例文などの情報を得られるものを選ぼう。
■英熟語力をさらにアップしたい人
ある程度英熟語の学習経験がある場合は、復習用として利用できる英熟語帳がオススメだ。
英熟語と意味をシンプルに構成したものや、問題形式で熟度をチェックできるものがよい。
英熟語を利用したフレーズや例文を繰り返し覚えることで、長文読解でも「このフレーズ見たことある!」とすぐに意味が思い出せるようになるだろう。
自分の勉強法に合わせて、効率よく英熟語帳を活用しよう!
英熟語ターゲット1000【短期間で暗記!初級~中級におすすめ】
「英熟語ターゲット1000」は、センター試験や国立2次で出題される頻度の高い英熟語を、ピンポイント対策できる一冊。
センター試験や国公立大への対策として、基本の英熟語を網羅できることが魅力だ!
ページの半分には「英熟語の意味」を、もう半分には「英熟語を使った例文」というシンプルな構成だから、短期間で英熟語を暗記するには持ってこいの一冊といえる。
後半はテスト形式となっているので、これ1冊で暗記・復習ができることも魅力。シンプルがゆえに上手く使いこなすかは自分次第だが、「英熟語の勉強をまだしていない」「英熟語の勉強に時間をかけたくない」という人にはオススメだ。
CDが付いているものもあり、通学中に聞くことで学習することができるのも嬉しいポイント!
■メリット・デメリット
「英熟語ターゲット1000」のメリット
・難関私大や国公立大で頻出の英熟語を、ピンポイントで勉強できる
・後半部分にテストが付いていて、覚えた英熟語をアウトプットしながら暗記できる ・ページの右側が例文になっているため、例文で実践的に理解を深められる ・出題頻度の高い順番で並んでいるから、短期間で得点アップを狙える |
「英熟語ターゲット1000」のデメリット
・シンプル構成のため使い方も自由。自分に合った勉強法がないと上手く活用できないこともがある
・意味を理解するため読解には向いているが、英熟語の単語そのものを書く問題には不向き |
■英熟語ターゲット1000の勉強法
①「1日30個」などのルールを決めて覚える数を増やす
②1週間など定期的に後半部分のテストで試す ③覚えていなかった英熟語にチェックをつけ、繰り返し勉強する ④1~3の手順を繰り返して、覚えられない英熟語を減らす |
■こんな人におすすめ
・英熟語をこれから勉強する人
・短期間で英熟語を効率よく覚えたい人
・長文読解に登場する似たような英熟語が分からなくなってしまう人
・偏差値50~60の人が、難関私大や国公立大に絞って勉強したい人
システム英熟語【イラスト解説で英熟語の理解度アップ!】
「システム英熟語」の魅力は、基本動詞に組み合わせる「at,on,for」などの前置詞のイメージを、わかりやすいイラストで理解できること。まさに英熟語の本質を理解するために作られた一冊である!
多くの人がつまずくであろう前置詞の意味をイメージで掴むことができるので、長文読解での「前置詞の穴埋め問題」や「長文の和訳」で得点を稼げるようになる。「前置詞がどうしても覚えられない人」にぴったりだ。
掲載されている英熟語は1500語ほどにも及び、この一冊で早慶などの難関私立大学や国公立大学にも対応できる。
基礎から応用までしっかり英熟語を網羅したい人や、英熟語の意味をイラスト掴んで、応用力を身に着けたいという人にオススメだ!
■メリット・デメリット
「システム英熟語」のメリット
・イラストが多いため、感覚的に意味を理解しやすい
・入試で出題されやすい英熟語が赤字になっていて、得点アップを狙える ・基礎動詞や前置詞のイメージを掴めるため、英作文にも応用できる ・”Speed Check List”で勉強した英熟語をまとめてテストできる |
「システム英熟語」のデメリット
・英熟語の理解にフォーカスしているため、暗記には弱い
・理解を深めることに特化しているため、繰り返しの復習には向いていない |
■システム英熟語の勉強法
①暗記に特化した英熟語帳と併用する
②覚えにくい、理解しにくい英熟語はシステム英熟語を使って意味やイメージを学ぶ ③学んだ英熟語を”Speed Check List”でアウトプットする ④文法問題集などを使って繰り返しテストし、英熟語を定着させる |
■こんな人におすすめ
・英熟語の基本動詞や前置詞を根本から理解したい人
・暗記はしたのに、長文読解や穴埋め問題で英熟語が思い出せなくなる人
・英作文にも応用のきく英熟語力を身に着けたい人
・難関大が目標の人
解体英熟語【難易度高め!難関大学志望におすすめ】
「解体英熟語」は、入試に出題される英熟語をとことん網羅した一冊。
この一冊を抑えておけば、中堅大から難関私大までの英熟語を徹底的にカバーできるのが魅力だ。難関大学を目指している人には必須といえるだろう!
1000個以上となる英熟語の数はさることながら、その暗記方法にも工夫がある。英熟語集に加えて問題集も一体となっているため、「学ぶ→テストする」といった繰り返しの勉強にも便利だ。
厚みのある巻末にはまとめて暗記できる「熟語表」や「前置詞の解説」なども掲載されているから、一冊で英熟語の知識力がどんどん上がるだろう。
熟語の分量も多く、情報量や難易度も高いため、基本レベルの単語は理解していてさらに英語力をアップしたい人にオススメである。
■メリット・デメリット
「解体英熟語」のメリット
・載っている熟語の量が圧倒的に多い
・実際の入試問題にそって構成されており、実践的で学べる ・問題形式になっており、インプット&アウトプットが同時にできる ・英熟語のまとめ表や前置詞の解説があり、情報量が豊富 ・難関校試験にも対応できる英熟語が網羅されている |
「解体英熟語」のデメリット
・英熟語の量が多く、1冊勉強するまでに多くの時間がかかる
・難関私大に向けた内容となっており、国立大学には向いていない ・厚くて持ち運びが大変 |
■解体英熟語の勉強法
①「100個」ずつ英熟語の意味を理解して、暗記する
②暗記→覚えているかチェックを繰り返し、100個の英熟語を1週間かけて定着させる ③入試問題をもとにした問題を解く ④間違った問題に印をつけ、再度熟度を覚え直す |
■こんな人におすすめ
・難関私大(早慶上智など)志望している
・英熟語の暗記からテストまで一冊で対応したい人
・英熟語の勉強に時間がある人
・基礎単語がある程度身に付いている人
キクジュクSuper3600【音とリズムで英熟語を自然に定着!】
「キクジュクSuper3600」は、みんなご存知の「キクタンシリーズ」から登場した英熟語帳。早慶上智や東大、京大などの難関大学を目指す受験生はもちろん、海外大学への留学やTOEIC試験にも対応できる「実用英語」が身に付けられることが特徴だ。
最大の魅力は、音声で英熟語が学べるCDが付属していること!
英熟語は2~3のフレーズが使われるため、なかなか覚えにくいという受験生も多いだろう。この一冊では、リズミカルな音楽に乗せて「言葉と脳」で英熟語を定着できるのだ。
また、基本動詞ごとにまとめて覚えられるページ構成で、前置詞の意味や使い方が一覧になっているなど、覚えやすい工夫もありがたい。
索引ページもあり、「あれ?この熟語どういう意味だったかな…」という時にもすばやく確認できる。勉強の効率もグンと上がるだろう。
■メリット・デメリット
「キクジュクSuper3600」のメリット
・音声CDを使って、フレーズを耳・口で覚えられる
・難関大学志望、TOEIC600以上が目指せる ・品詞などのテーマごとに章分けがあり、頭で整理しやすい ・章ごとに基本動詞や前置詞のまとめページがあり、覚えやすい ・熟語のページ内にはフレーズや例文があり、反復練習にも便利 |
「キクジュクSuper3600」のデメリット
・基本単語を理解しておく必要がある
・初級~中級向けの「キクジュクbasic1800」を購入する必要がある |
■キクジュクSuper3600の勉強法
①章のテーマをまとめたintroductionで、熟語の意味を包括的に理解する
②それぞれの基本動詞に分けて、熟語や前置詞の意味を理解する ③ページ下部にある前日分の熟語チェックリストや、確認クイズを利用して反復学習する ④隙間時間にCDを聞いたり、声に出して発音し、脳に英熟語を定着させる |
■こんな人におすすめ
・基本動詞ごとに英熟語を覚えたい人
・難関大学や海外大学を目指す人
・動詞や前置詞、関連熟語まで網羅的に学びたい人
・英熟語が混同してきちんと暗記できない人
・スキマ時間を有効活用して、リスニングやスピーキングの力も付けたい人
自分に合う1冊を見つけよう!
英熟語を身に着けるためには、自分の勉強法に合った英熟語帳が必須だ。
同じように見える英熟語帳だが、実は「暗記に特化したもの」「基本動詞や前置詞の理解を深めるもの」「アウトプットができるもの」などさまざまな種類がある。
目指す大学のレベルによっても求められる英熟語が異なるため、自分が志望する大学レベルに対応しているかも重要なポイントだ。
これから英熟語の勉強を進めたい!という受験生は、いきなり難易度の高いものを使用しても挫折してしまうことも多い。イラストや図解を使ったものを利用して、まずは基礎からしっかり固めていこう。
また、英熟語は長文読解や文法問題の和訳問題、穴埋め問題、並び変え問題にも頻出される問題だ。そのため、「毎日100個」などの目標を定め、取りこぼしのないよう繰り返して学習するべきだ。自分に合った一冊を見つけ、あきらめずに日々積み重ねていこう!