受験まで残すはあと1年。
そろそろ受験勉強に本腰を入れようとしているところではないだろうか?
もしキミが難関私立大の「MARCH」を志望するなら、高2の秋冬から効率的に受験対策を始めるべきだ。とはいえ、偏差値55ほどの生徒は「MARCHなんて到底受かるはずない」と、諦めている人も多いかもしれない。
MARCHの偏差値は最低55ラインとなり、平均して60~65がボリュームゾーンだ。
確実に合格を狙うなら、「偏差値60以上か、さらに難易度の高い学部では65以上」を目指さなければならない。
しかし、偏差値を5~10アップすることは一朝一夕にできるものではないから、「今から勉強して間に合うの?」と思うのも当然だろう。
でも、最初から諦めてしまう必要はない。
私大であるMARCHの試験科目は、たったの「3科目」だ。
一般的な国公立大学が「5教科7科目」であることを考えると、あと1年という限られた時間でも「偏差値アップの対策を十分に講じられる」というわけだ。
さらにMARCHでは「他学部の併願」も可能であるから、合格のチャンスも高くなる。
つまり、今の偏差値が55程度という生徒でも、「MARCH合格は夢ではない!」という自信を持ってほしい。
今回は、そんなMARCH合格を目指す生徒に向けて、偏差値55レベルから60~65まで引き上げる効率的な勉強法を伝授する。1年間の勉強スケジュールをあらかじめ設定して、戦略的に対策を始めていこうではないか!
「英語」「国語」が合否を分ける!1年間のスケジュールを立てよう
MARCHの一般入試では、受験科目「3科目」に絞って効率的に対策することが肝心だ。そのためには、まずは行きたい大学と学部を決定し、1年間のスケジュールを立てることから始めよう。
なかでも重点的に時間を確保しておきたい科目は、「英語」だ。
なぜなら、MARCHでは英語の配点が高い学部が多く、他の科目と比べても「1.5~2倍ほどの配点率」が設定されている。一部の理系では例外があるにしても、それでも全体の約3割~4割が英語の配点を占めるため、「英語で得点を稼がなければ、他の科目で合格点をカバーするのは難しい」のだ。
つまり言い換えると、「英語を重点的に対策していれば、MARCHに合格できる確率が上がる」ということになる。他の科目の勉強も必要なのだが、英語だけは「毎日優先的に時間を確保する」ようにしよう。
国語については、大学や学部によって出題比率が異なるが、MARCHでは必ず出題される科目だ。「現代文」「古文」「漢文」と3つの大問がバランス良く出題される学部もあれば、現代文+古文が「2:1」で出題されるなどのパターンもあるから、志望する大学に適した対策が必要となる。
問題の種類やテーマにもそれぞれの特色があるから、「とにかく演習問題をこなす」というよりかは、「大学・学部の出題傾向を把握してピンポイントで対策する」のが望ましい。
なお、残りひとつの選択科目については、決して「なんとなく」で選んではいけない。
世界史などの「社会科目」のほかに「数学」が選択できるが、「私立文系の9割は社会科目を選んでいる」のが現状だ。数学が得意であれば選択する方がよいが、高2の秋冬の時点で「数学の獲得点がセンター5割」という生徒は、社会科目を選ぶのが無難だろう。
今回は、MARCHの合否を分ける「英語」「国語」の科目に絞って勉強法を紹介する。詳しい勉強法はあとで説明するとして、まずはざっと1年間の勉強スケジュールをまとめてみた。
時期 | やるべきこと | 勉強法 |
高2の秋冬から | 【英語】
単語帳や文法書を使って、基礎固めをする 毎日勉強の習慣をつける 【国語】 単語帳を使い、頻出漢字を網羅する 古文単語や文法の習得 漢文が出題される場合は、語句や解法を習得する |
【英語】
・システム英単語などの単語帳を使い、毎日反復学習する(書くよりも、声に出して暗記する) ・Vintage、NextStageなどの英文法書を順番に1日1単元 ・英文法書の問題集を繰り返し、クリアできなかった文法を復習する(覚えるのではなく、理解することが大事) 【国語】 ・MARCH頻出の単語帳を使い、毎日反復学習する ・古文単語帳、文法参考書を使い、知識問題を演習する ※漢文がある場合は同様 |
高3の7月(夏休み)まで | 【英語】
英単語や文法の基礎をクリアする 【国語】 漢字の単語帳1冊をクリアする 古文単語・文法の基礎を理解する ※漢文がある場合は同様 |
【英語】
・英単語はスキマ時間で復習(忘れないため) ・大学入試用の文法問題集をやり込み、間違えた箇所を重点的に復習する ・例文や英作文表現のストックを増やす 【国語】 ・単語系はスキマ時間で復習 ・古文(漢文)は問題集をつかって演習を重ねる |
高3の8月~12月まで | 【英語】
長文読解に取り掛かる 問題集や過去問でアウトプットする CDなどの音源を使って音読、リスニング力をつける 【国語】 現代文の「読解問題」に取り掛かる 過去問演習をはじめる |
【英語】
・「基礎英文解釈の技術100」などを用いて、反復して復習を重ねる ・長文読解問題を演習し、読解力・速読力をつける ・参考書付属のCDなどを使い、スラスラ読み上げられるくらいに例文を暗記する 【国語】 ・現代文の参考書を用いて、幅広い問題で読解力を身につける ・志望校の過去問10年ほどをまんべんなく解く ・文章全体の主旨や構造を把握するために、書き込みをしながら読み解く練習をする |
高3の12月以降 | 【英語】
ニガテな単元を重点的に復習する 時間配分を意識して実戦力をつける 【国語】 古文と現代文の時間配分を決める ニガテな分野やテーマは重点的に復習する |
【英語】
・間違った箇所、間違えやすい箇所、すぐに解けない箇所をノートにまとめて理解する ・時間を図り過去問を解く。長文読解に時間を配分できるよう、単語・文法問題はスラスラ解けるのが理想 【国語】 ・出題比率から時間配分を決めて、実際に時間を図りながら過去問演習を解く ・時間がかかりやすい分野やニガテなテーマを重点的に復習する ・漢字や語彙問題には時間をかけず、スラスラ解けるのが理想 |
英語は基礎固めが肝心!夏休みからは「長文読解」へ
MARCHの英語対策では、必ず基礎固めが必要となる。
なぜなら、MARCHの英語では「長文読解の出題比率が高く設定されている」ことが多く、長文読解をスラスラ解けるようになるには、「基礎の単語や文法力が必須」だからだ。
明治大学の文学部を例に見てみると、全5つの大問のうち、長文読解が3題を占めている。試験時間が60分というなかで長文を3題も解くには、知識だけでなく「コツと速読力」も身につける必要があるのだ。
他の大学を見てみても、学部によって多少の出題比率の差はあるが、「文法+語彙問題」と同じ出題比率、もしくは「長文読解が配点の半数以上」を占めているケースがほとんどだ。つまり、英語で差をつけるには、「長文読解で確実に点数を取る」ことが大事だと分かるだろう。
とはいえ、偏差値55程度の生徒が、高2の秋冬からすぐに長文読解に取りかかるのは逆にNGだ。基本的な単語や英文法が習得できていないまま長文に取り掛かっても、「全く英文が読めない」と挫折してしまう生徒が多い。
1年間で偏差値60以上を目指すには、高3の夏休みまでに「どれだけ英語の基礎を固められるか」が重要だと認識してほしい。「基礎固め」こそが、MARCHの合格への第一歩と言っても過言ではないだろう。
「単語や文法に自信がない」「何から勉強したらよいか分からない」という生徒は、長文読解を始めるまえに、これから紹介する英語勉強法を実践しよう!
「英単語」の勉強法
MARCHの英語試験では、約2000語の英単語を覚えなければならない。
この英単語がしっかりインプットされていないと、たとえ英文法を理解していても「肝心な意味が分からない」という失敗が起こりやすい。高3の夏までにしっかり単語力を身に着けておくようにしよう。
■効果的な勉強法はコレ!
・MARCH合格レベルの単語帳を手に入れる
・「1日30語」などを決めて暗記する(書くよりも、声に出して暗記する) ・次の30語に進むときは、昨日学んだ単語を復習してから暗記する ・1周目が終わったら、赤シートで隠しながらテスト復習する(全ページをテンポよく繰り返すことが重要) ・すぐに思い出せなかった単語にチェックを付けて、重点的に覚える |
■失敗しない勉強ポイント
ポイントは、毎日決まった数を欠かさず覚えることと復習を欠かさないこと。
以下のような流れで、頭に定着させてほしい。 ・次の単語を覚えるときには、これまで覚えた単語の復習をしてから ・1周目を終えたら、ページの順番をランダムに変えながらテストする ・「覚えてなかった単語」にチェックをし、重点的に暗記 ・文法の勉強を併行して進める |
■オススメの参考書
MARCH対応レベルのもの、頻出単語2000語ほどが収録されているものが条件。
赤シートを使ってサクサクと進められるものを選ぼう。 ・システム英単語 ・英単語2202 ・英単語ターゲット1900 ★参考書を進めるペース ・1週間に200語(1日30語ほど。文法と併行してスキマ時間に暗記する) ・3ヵ月で単語帳を1周する ・2周目以降は、全体を高速で反復しながら学習する(高3の夏休みまでに定着させる) |
「英文法」の勉強法
英文法の勉強では、「英単語と併行して」取り組もう。
英単語の暗記だけに時間を費やしすぎて、「夏休みまでに英文法の基礎固めが間に合わなかった」という失敗も多いから、ペース配分には気を付けてほしい。
また、MARCHの英語試験では、英文法問題が全体の3分の1程度を占めることが多い。
「あれ?どうだったっけ?」というド忘れや、「多分こうだろう…」といった勘での解答をを防ぎ、点の取りやすい文法問題で確実に点を取ることが重要だ。
配点の高い長文読解を解くためのベースにもなるため、高2の秋冬から着実に理解を深めていくことが大切だ。
■効果的な勉強法はコレ!
・大学入試対応の文法書を手に入れる
・文章書は1冊に絞り、1ページ目から順番に理解しながら進める ・理解した文法は例文とともに暗記して、仕組みを口で説明できるまでに習得する ・覚えた文法を使い、別の単語に入れ替えて作文してみる ・1単元ずつ、その文法が使われた演習問題を解く ・1周した後は、文法問題(穴埋め問題や入れ替え問題など)を繰り返し解く ・間違った文法にチェックして、文法書を使って復習する |
■失敗しない勉強ポイント
英文法は単語とは違い、「単に暗記するだけの勉強はNG」だ。
SVOCなどの仕組みだけでなく、「どの単語が何を修飾しているのか」「品詞は何が当てはまるか」など、きちんと構造を理解しておかなければ、長文読解で知識を生かせなくなる。 文法を覚える際は、例文を覚えるか、あるいは自分の好きなモノやエピソードを使った内容に置き換えて覚えるのもひとつのワザだ。 文法書を網羅したら、ひたすら文法問題を問いて理解度を確かめながら復習していこう! 文法問題とは、例えば以下のようなものがある。 例)インターネットほど面白いものはない。(1語不要) is / more / the / than / Internet / there / as / interesting / nothing ちなみに答えは「there is nothing more intersting than the Internet.」となる。 |
■オススメの参考書
大学受験に必須の英文法をすべて網羅できるものが条件。
赤シート、単元ごとに問題集が付いたものが◎。 ・Evergreen ・NextStage ・Vintage ★参考書を進めるペース ・1日1単元を1ページ目から進める(英文法を例文で覚えて、仕組みや構造を正しく理解する) ・3ヵ月で全単元を習得する(英単語と併行しながら進める) ・各単元を終えた後は、演習問題を解く ・1周した後は、文法の問題集や過去問を使って反復学習する(最初は自力で、間違えた箇所は文法書を見て復習する) |
「長文読解」の勉強法
最初にも伝えたが、MARCHの英語試験では「長文読解の配点率」が大きい。
長文読解で点数を稼ぐことができれば、MARCHの合格の可能性が飛躍的にアップするだろう。
しかし、長文読解は英語試験のなかでもっとも難易度が高いから、「全体を読むのに時間が足りない」「1個つまずくと意味が分からなくなった」などと悩む生徒も多い。
確かに、さまざまな単語や文法が含まれている長文は、理解するのが難しいように思える。
しかし、英単語や文法などの基礎を正しく理解していれば、読み解きやすい文章も多く含まれているのだ。
あとはテストの傾向や長文読解のコツを掴めば、文章量が多くてもスラスラと理解できるようになる。さまざまな問題集や過去問に触れて、読解するコツや速読力を養うことが、長文読解の勉強のキホンだ。
■効果的な勉強法はコレ!
・長文読解の問題集や過去問題集を手に入れる
・まずは辞書や文法書を使わずに、自力で問題を解く ・答え合わせをしたあと、分からなかった文章は辞書などを使って和訳する ・答えをみても理解できなかった文章は、文法書を見て復習する ・一度解いた問題は、期間を空けて繰り返し取り組む |
■失敗しない勉強ポイント
長文読解問題で重要となるのは、「前後の文脈から意味を理解すること」だ。
難しい単語が分からなくても、「前後の文章や文法から意味を推測する力」を身に着ける必要がある。 こうした読解力を身に着けるためには、以下のポイントに気を付けてほしい。 ・文章全体の起承転結を理解する(重要な箇所はチェックや傍線を引きながら読む) ・文中に現れるディスコースマーカー(※)を意識して、全体の流れを把握する ・先に問題を見てから、長文を読み始める(問題を把握していれば、答えがどこに記載されているか予測しやすい) ※ディスコースマーカーとは、but(しかし)、On the one hand(一方で)など、文章の展開を把握するためのキーワード。このキーワードに注意して、前後の流れを理解しながら読み進めるのが効果的。 ただ「和訳すること」にとらわれたり、文章を後ろから読む「返り読み」はNG。 直読直解できるよう、直感的なイメージで捉えながら読むクセをつけよう! |
■オススメの参考書
長文読解向けのMARCH過去問題集や、英文解釈の参考書を使うのが◎。
大学や学部によって出題傾向が異なるから、必ず志望校の過去問に触れておこう! ・基礎英文解釈の技術100 ・英語長文レベル別問題集5(上級編) ・やっておきたい英語長文500 ※演習にオススメ ・イチから鍛える英語長文500 ※演習にオススメ ★参考書を進めるペース ・高3の夏休みから、着手する(英単語や英文法の基礎習得が前提) ・1日3題をペースに解き、分かるまで解説や文法書を見ながら復習 ・1周した後も、繰り返して問題に挑戦する |
「国語」は志望校の出題傾向に沿って対策するべし!
MARCHの入試では、「国語」の対策も不可欠だ。
とくに現代文は、どの大学・学部でも出題比率が高くなっており、高い得点力が求められる。
受験科目が3教科となれば「他の科目でカバーできない」から、国語で8割ほどの点数をキープしなければ、MARCHの合格ラインに達するのは難しいだろう。
しかし、偏差値が55程度だからといって諦めるのは早い。
MARCHの国語試験では、大学・学部によって出題傾向がある程度決まっている。
難易度についても、英語と比べると比較的易しいものが多いから、センター8割レベルであれば国語の合格ラインへと到達できるのだ。
受験まであと1年という期間だが、「志望校・学部の出題傾向に絞って対策」をすれば、より効率的に点数アップが狙えるだろう。
ただし、認識してほしいのは「誰でも比較的点数を獲得しやすい」ということだ。
MARCHの国語は、難易度の高い英語と比べても点数を獲得しやすい科目だから、平均点も高くなりやすい。そのため、「いかに点数を落とさないか」ということが肝心だ。
■MARCHの大学別出題傾向と頻出テーマまとめ
難易度と特徴 | 出題傾向 | 頻出テーマ | |
明治大学 | ・標準レベル
固く読みづらい文章は少なめだが、頻出テーマが広いため幅広い国語的な知識が問われる |
・評論文が中心だが、随筆も出題
・設問はオーソドックスなものが中心 ・法学部では、明治~大正期の懐古的な論文も出題 ・古文は、物語や紀行文など幅広いジャンルが出題 (口語訳や内容説明、語彙問題が頻出) ・和歌の出題あり ・漢文は文学部のみ(書き下しや内容真偽など) |
・国際社会、社会問題、文化、文学、哲学、人間論など
・法学部では、法律に関連するテーマが頻出 |
青山学院大学 | ・比較的易しい
素直な文章が多く、読みとりやすい反面、点数を落とさないことが重要となる |
・評論文が中心
・設問は、内容説明や空所補充が中心 ・オーソドックスな問題が多いが、漢字の書き取りや四字熟語、文学史も頻出 ・古文は、幅広いジャンルから出題、設問も様々 ・古文は、語彙や文学史などの知識問題が中心 ・漢文は出題されていない |
・社会、文化、歴史、哲学、経済、文学、言語など |
立教大学 | ・やや難しい
独特な文章は出題されないが、時間に対して問題数が多く、紛らわしい選択肢が多いから、精読力・速読力が必要 |
・評論文を中心に、小説や随筆、物語、史伝などの幅広いジャンルが頻出
・設問は、箇所指摘や内容真偽が頻出し、文章への深い理解が求められる ・古文は、中古、中世の物語からの出題が中心、和歌もあり ・漢文は文学部のみ(書き下しや現代語訳が中心) |
・文化、社会、歴史、哲学、言語など |
中央大学 | ・標準レベル
文章自体は比較的読みとりやすいが、紛らわしい設問が多いため、速読即解が求められる |
・評論文が中心
・設問は、内容真偽で難解な言い回し問題が多いため、正しく読み解く力が必要 ・古文は、有名作品からの出題が中心、和歌もあり ・漢文は文学部のみ(句形などの知識問題が中心) |
・文化、社会、言語、思想、宗教、教育、法律など |
法政大学 | ・標準レベル
基礎的な読解力で対応できるレベルだが、問題のボリュームに対して時間が短いため、速読力が必要 |
・評論文が中心だが、随筆も頻出
・漢字、熟語に加え、慣用表現や文学史など「国語常識」の大問が出題 ・古文は中古、中世の物語、随筆が中心 ・漢文は文学部のみ(史伝や思想などが出題) |
・社会、文学、人間、歴史など |
現代文と古文、漢文とでは勉強法が異なるが、やみくもに同じ方法で勉強するのではなく、以下のように分けて考えてみてほしい。
■現代文:頻出のテーマや出題形式を知り、問題集を使って文章に慣れる
古文や漢文はルールを暗記するなど、基礎を抑えておけば、ある程度の問題は解けるようになる。特色が分かれる現代文は、できるだけ過去問題集に触れて「じっくり丁寧に解く勉強」が効果的だ。
それでは、今から国語の効果的な勉強法を紹介する。
学科によって出題科目や配点比率が異なるから、必ず試験情報を確認してから始めてほしい。
「古文」と「漢文」の勉強法
古文や漢文の対策では、「とにかく基礎知識を身につけること」が最優先だ。
とはいえ、古文・漢文よりも「現代文」にウェイトが置かれているMARCHでは、「古文漢文にそんなに時間をかけたくない!」という生徒も多いだろう。
だが安心してほしい。古文・漢文は、基本的な単語や文法のルールを覚えれば、短期間で得点をアップしやすい分野でもある。古文対策で覚えておきたい単語数は約300~500語ほどだから、英単語の暗記と比べても易しいのだ。
また、MARCHの特色として、古文や漢文はオーソドックスな問題が多く、キホンをしっかり抑えておれば対応できるものが多い。有名作品が出題されるケースも多いため、難易度の高いレベルまで到達するよりも、「基礎の単語や文法をマスターする」ことに注力してほしい。
現代文を解くための「時間配分」も重要となるから、古文や漢文はサクサクと解けるようになるのが理想だ。
ただし、「英語で点数を取れていないのに、古文や漢文を勉強する余裕はない…!」というケースは例外だ。この場合は、「英語を優先すべき」といえる。
古文や漢文は英語と比べて配点が低いため、「重要度は低め」だ。比較的時間をかけずに基礎知識を習得できる分野でもあるから、英語などの重要科目を仕上げてから取り組むのが賢明だろう。
■効果的な勉強法はコレ!
・MARCH対応の古文・漢文の単語帳を1冊用意する ※試験に出ない科目は不要
・古文、漢文の参考書を一冊用意し、1ページ目から文法や句形などの基礎を習得する(ルールを暗記することが重要) ・参考書を進めながら、併行して単語を暗記していく(1日30語などのペースを決める) ・1通り参考書を網羅したら、志望校の問題集や過去問演習を繰り返す ・問題集や演習問題で解法を身につけ、短時間で解けるようにトレーニングする 古文と漢文は、約1~2ヵ月間で基本的な古語や文法をマスターしておきたい。 敬語をはじめ、和歌の修辞法も抑えておくのがポイントだ。問題集で演習を重ねて、正しく文章を読み解く力を身に着けよう。 参考書を1周したあとは、志望校の過去問などで問題の形式に慣れたり、選択肢を正しく選べるか、実践を重ねて学んでいくことが重要だ。 ある程度、問題集や演習問題が解けるようになってきたら、「1週間に10問」などと定期的に復習をすると、忘れずに定着しやすい。 |
■失敗しない勉強ポイント
古文や漢文では、基礎知識を使って確実に点を取ることが重要だ。
そのためには、 ・頻出単語を完璧に暗記すること ・文法(古文)、句法(漢文)のパターンを覚えること この2つがポイントとなる。 これを踏まえて、以下のことを意識して取り組もう。 ★古文 文法については、動詞や形容詞などの基本的な用法を覚える必要がある。「なり」や「る」などの品詞を分解して、正しく精読できるよう品詞の役割を覚えておこう。 ★漢文 句形については、丸暗記ではなく、しっかり構造を理解して暗記することが重要。典型的なパターンは例文とともに覚えるのが効果的。和歌の掛詞や縁語などの修辞法も抑えておこう。 また、基礎を覚えるまでは「短期集中型の勉強」が理想だ。少ない勉強時間で得点アップが狙える科目だから、時間をかけて長期的に取り組むより、「1~2ヵ月で基礎を固める」という意識で取り組むと良い。 基礎を学んだあとは、「志望校の過去問題にできるだけ多く触れる」ことをオススメする。問題のパターンを分析し、短時間で問題を解くコツを掴むためだ。 演習については、現代文や英語の勉強のスキマ時間に行い「1週間で5問」などとルールを決めて取り組むとよい。 |
■古文対策にオススメの参考書
頻出単語が約300~500語収録されている単語帳と、参考書を揃えておくと◎。
・古文単語ゴロゴ(単語帳) ・読んで見て覚える重要古文単語315(単語帳) ・大学入試の得点源 古文(参考書) ・マドンナ古文(参考書) ★参考書を進めるペース ・英語や他の科目に余裕があれば、高2から着手する ・単語は1週間で100語ほど、1ヵ月以内に1冊を網羅する ・文法は2ヵ月で1周する(仕組みやルールを理解する) ・覚えた単語は、現代文の勉強のときに復習する ・高2の6月ごろからは、志望高の過去問題で演習に入る(1週間で5~6題) ※古文は、みっちり時間を詰めて勉強すれば、3ヵ月~6ヵ月で着実に得点を稼げるようになる。英語や現代文、社会などの勉強に余裕がある人は、週に5~6題くらいのペースで解いておこう。 |
■漢文対策にオススメの参考書
“句形”という基礎文法を習得できるもの、解説が丁寧で知識として定着できるものが◎。
理解した知識をアウトプットできるドリルなども効果的。 ・漢文のヤマのヤマ パワーアップ版 ・漢文教室 ・でるもん 漢文句形・単語(頻出単語幅広く掲載) ・漢文句形ドリルと演習 ステップアップノート10(アウトプットも可能) MARCHの漢文では、難易度の高い問題は少なく、基礎知識を使った問題が中心。 参考書を選ぶ際は、「基礎を分かりやすく解説してくれるもの」を選ぶと良いだろう。 イラストを使ったものや、レイアウトがシンプルで覚えやすいものが◎。 ★参考書を進めるペース ・英語や他の科目に余裕があれば、高2から着手する ・1ページ目から進み、1ヵ月で参考書1冊を終える ・覚えた句形は、現代文の勉強のときに復習する ・1週間に1~2時間使い、過去問題集で演習をする(他の科目の勉強にも時間が取れる人) ※漢文は、できるだけ少ない時間で句形や解法パターンを覚えられるかがポイント。暗記だけでなく知識として定着すれば、スキマ時間の復習でも十分知識をキープできる。 |
「現代文」の勉強法
MARCHの現代文試験では、基本的に「評論文」が中心となっているのが特徴だ。
若干のテーマの違いあるものの、文化や歴史、社会などのテーマはどの学部にも頻出しているから、過去問演習で幅広い文章に触れておく必要がある。
そして、多くの大学・学部では、試験時間60分程度に対して、大問が3~4題出題されている。深い理解力が求められる「内容説明」や、紛らわしく選択に手間取る「内容真偽」などの問題はついつい時間がかかってしまうから、「時間が足りない!」と焦るケースも多い。
時間配分でミスをしないためには、日頃から「文章の主旨をすばやく捉える」勉強が不可欠だ。難易度の高い問題集に挑戦する必要はなく、「標準レベルの問題集・過去問題」を使って、重要なキーワードを意識しながら、文章を読み解く練習を重ねよう。
また、ほとんどの学部が「マーク・記述併用式」なのだが、選択問題を「なんとなく」で選ぶのはNGだ。運が良ければ得点できるかもしれないが、確実に点を取るためには「解答に至るまでの根拠」を明確にしていなければならない。
解答するときは、「なぜこの解答になったか」という根拠がどこに記載されているか、傍線を引くなどして勉強してほしい。紛らわしい設問に惑わされることなく、「いかにミスを減らせるか」が現代文で功を奏するポイントだ。
■効果的な勉強法はコレ!
・「漢字」「現代文キーワード」の単語帳を用意する(MARCH対応レベルのもの)
・単語系は「1日30語」などと範囲を決めて暗記し、「1~2ヵ月で一冊」読み込んだ後、反復学習する ・志望校の出題傾向を確認し、適切な参考書の問題集や、過去問演習をする(1日1~2題のペースで、幅広いテーマに触れることが重要) ・文章は起承転結を意識して、傍線やチェックで「何が書かれているか書き込みながら」読む ・間違った箇所は、参考書の解説を見て「間違った原因」を明確にして復習する 現代文では、幅広いテーマの文章に触れて「速く正しく文章を読み解く力」を身に着けるのがポイントだ。 問題集や過去問を解くときは、まずは時間を気にせず「自力で文章構造を分析しながら」読んでいこう。 また、「繰り返し出るキーワード」や「対比表現」「接続語」などにはチェックを入れながら、文章全体の要旨をすばやく捉えるようトレーニングしてほしい。難しい言い換え問題や、文章のボリュームが多いときでも、解釈のズレやミスを防げるようになるだろう。 高3の12月頃からは、実際に時間を図って「制限時間以内で問題が解けるか」実践することも忘れずに。漢字の読み書きや四字熟語などの語彙問題は、落とすことなくサクサクと解けるのが理想だ。 |
■失敗しない勉強ポイント
現代文の勉強では、「1つの問題に対してじっくり時間をかける」ことを意識してほしい。
たくさんの過去問に触れることはもちろん重要なのだが、大切なのは「問題のパターンと解法のコツを掴むこと」だ。 多くの学部で頻出している「評論文」を例に見てみよう。 いくつかの典型的なパターン決まっていて、主に以下のような順序で文章が構成されている。 ・根拠→主張(帰納型) ・主張→根拠→主張(演繹型) これらのパターンをあらかじめ理解していれば、「必要な文章がどこに隠れているか」を予想しながら読むことができるだろう。 とくに「段落ごとの内容(起承転結)」に注意して読み、各段落の主旨を簡単にまとめたり、重要キーワードを箇条書きにするなどのワザも効果的だ。 とくに「①文章のテーマ」「②著者の意見」「③根拠」という3つのパーツは、チェックや印をつけながら読み進めると良い。文章のボリュームが多いときでも、印やチェックを見れば「何が書かれているか」解答を見つけやすくなるだろう。 |
■オススメの参考書
現代文の参考書については、志望校の出題傾向を確認して、強化しておきたいジャンルの参考書を選ぶことがポイント。志望校の過去問を解くことは前提として、読解力が身につく参考書をピックアップした。
・GMARCH&関関同立の現代文 ・入試現代文のアクセス 発展編 ・現代文読解力の開発基礎講座 また、現代文には漢字の読み書きをはじめ、基礎的な現代文ワードを学んでおく必要がある。読解の勉強に加えて、以下の参考書も併行しておくのがオススメだ。 ・現代文キーワード読解(入試頻出のキーワードをまとめたもの) ・入試漢字マスター1800+(頻出漢字が約1800語収録) ★参考書を進めるペース ・漢字や現代文キーワード参考書は、1日30個などのペースで始める ・1周終わった後は、繰り返しサクサクと全体を読み返す(1週間に500ずつなど、全体を反復学習) ・読解向けの参考書は、1日1題ペースでじっくり時間をかけて分析する ・参考書と併行して、志望校の過去問を解く(週に5~7題ほど) |
【まとめ】英語・国語を制して偏差値60以上を目指せ!
ここまで、MARCHへ合格するための「英語」「国語」の勉強法に絞って紹介した。
「なんだかやることが多くて難しそう」「こなせる自信がない…」という声も聞こえてきそうだが、一見難しそうに見える勉強プランでも、「勉強する目的」と「やること」をまとめれば、案外シンプルなものだ。
■英語
目的:配点の高い長文読解で点数を稼ぐため やること:単語と文法の基礎固めはしっかり。 あとは長文読解演習で解法のコツ&パターンを掴むこと。 ■国語 目的:必ず出題される現代文で確実に点数を取るため/古文漢文で周りと差をつけるため やること:漢字や古文文法、句法などの基礎知識はしっかり。 あとは過去問で幅広い問題に触れること。 |
このように整理してみれば、やることが一目瞭然だろう。
受験まであと1年残っている高2の秋冬であれば、のんびり勉強する時間はないものの、基礎固めからはじめる時間は十分残されている。。
一番気を付けたいのは、「始めから過去問や問題集に取り掛かり、基礎知識をないがしろすること」だ。上辺だけの知識では、いざとなったときに正しい選択肢が選べなかったり、勘違いでケアレスミスをしてしまう失敗も多い。
「偏差値55から一向に伸びない」という生徒は、この基礎段階がまだ完璧でない可能性が高い。MARCHで偏差値60以上を目指すなら、「細かなミスや当てずっぽう無くし、確実に点を取っていく」ことが不可欠といえるだろう。
だからこそ、「英語なら単語や文法」「国語なら漢字や古文文法」と、必ず基礎から見直す時間を作ってほしい。こうした土台作りが、偏差値60以上まで到達するための試練と言えるだろう。さあ、MARCH合格に向けて、今日から受験勉強を開始しよう!